はかなき恋のうた~NAGASAKI・軍艦島
そんな二人がどういうわけかウマがあった。彼女はクラスでも優秀で毎年、級長さんだった。しかし根がひっこみじあんの俺は、自分の気持ちを彼女に伝えることもなく年月だけが過ぎていった。ところが人生なんてどうなるか分からない不思議なもので、俺たちが25の夏の或る日、彼女から告白され二人は付き合うようになった。



付き合い始めて7年になろうとしていた時、急性ヘルニアを患いこの軍艦島から実家がある佐賀県の鳥栖に、すでに引っ越していた親父が交通事故で車にはねられ、危篤状態だという知らせが入り俺は急いで実家に戻った。



危篤状態が数日続いたが、5日後にはどうにか意識も戻り、10ヶ月で退院することができた。その親父の退院の日、軍艦島が閉山になるという知らせが届いた。俺は急いで島に戻った。



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