二人で一人〜永遠に
俺は足元が、覚束無い状態で、千冬が居る病室に戻った。

「…眠り姫……起きてくれ………俺をこのまま、ひとりぼっちにさせておく気か………千冬……」

俺は、千冬の顔を両手で包み、眠っている千冬の唇にキスをした。

「…独りぼっちにならないよう……千冬が寂しがらないように……今日から、俺が……傍に居る……本当は……俺が寂しいんだ……お前が隣に居ないと……寂しいんだ……」

俺は、包帯の上から千冬の眼に手をおいた。

その日から俺は、兄貴に許可をもらい病室に泊まって千冬と過ごすことにした。

〔コンコンッ!〕

「どうぞ!」

「お疲れさま!」

「おばちゃん!」

「あらっ!体拭いてくれたの!」

「あぁー、でも顔と手足くらいしかできなかったけど…パジャマを脱がして体を拭くのは…」

おばちゃんは、持っていたカバンをソファーに置き、クスッと笑って、新しいパジャマを出した。

「何を恥ずかしがることがあるのよ?」

「…別に」

俺は、洗面所でタオルを洗いタオルをおばちゃんに渡した。

「…おばちゃんが、体拭いてやってよ…」

「恥ずかしいなんて、琉汰らしくないわねぇ!」

〔ポンッ!〕



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