二人で一人〜永遠に
俺は、診察室を出た。

【………】

俺は、病院を出て眩しい太陽に向かって、両手を伸ばした。

『駄目よ!!眼も見えない!意識が戻らない!そんな姿の千冬と居てもしょうがないじゃない!…千冬のことは、諦めなさい!このままだったら琉汰が、幸せになれないのよ!!』

御袋の言葉が、頭を過った。

「…ふざけるな」

俺は、伸ばした腕を下げ、ポケットに手をいれ歩き出した。

千冬の看護を決めた日、俺は家に戻り服をとり親父と御袋に話をした。

親父は、千冬の看護に賛成も反対もしなかった。

『…一人の女性に、自分の時間を与えるなら、琉汰の好きにすればいい…後で自分の時間を悔やまなければ、それでいい…好きにしろ琉汰の人生だ』

「…そうだ…俺の人生だ…後悔なんてない!」

俺は、気持ちを切り替えて、人々が行き交う町に向かい、着替えの服を買いに店に入った。

【…この服…】

一枚の服に、俺は目を止めた。

俺は、思い出していた。

『ねぇ!ねぇ!これは!?……似合う!これにしなよ!』

『こんな柄つきの服、俺には着れねぇーよ!』

『たまには、こーゆう服も着てみたらいいじやない!』

『嫌だ!』
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