二人で一人〜永遠に
笑顔で、俺から逃げる千冬の顔を思い出していた。

「……あの時の笑顔を………もう一度……みせてくれ………千冬……」

俺は、両手で頭を抱え泣いた。

病室に戻ると、おばちゃんの姿はなかった。

「…売店か?…」

俺は、ベッドで眠っている、千冬に話をかけた。

「…千冬、外はいい天気だぞ…早く目を覚まさないと、夏が終わる…千冬が好きな冬の季節がやってくるぞ……、前にお前が選んでくれた服…ほらっ、買ってきちゃったよ……公園にも寄ってきた……どこに行っても、千冬が居る……今は眠り姫だけどな……」

俺は、千冬の左手を両手で包んだ。

〔カラカラカラ…〕

病室のドアが、静かに開いた。

「あっ!お帰り!」

ドアの前に、おばちゃんが立って、俺を見ていた。

「………」

「ん?どうしたの?」

おばちゃんの顔は、悲しそうだった。

「ううん、なんでもないわ…」

【………】

「…そう…」

「…ねっ…琉汰」

「何?」

「…このまま、千冬の傍に居るつもりなの?」

俺は、突然のおばちゃんの問いかけにビックリした。

「どうした?」

「琉汰には、千冬の分も幸せになってもらいたいの」

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