二人で一人〜永遠に
「琉汰!お願いよ!眼が見えない千冬と居ても、苦しむのは貴方よ!…ううん!千冬だって、苦しむわ!」

【………】

「お願いします!!」

俺は、頭を下げ土下座した。

「琉汰…」

〔コンコンッ!〕

「失礼します」

女性の声が聞こえたと同時に扉が開かれた。

「…千冬!」

千冬は、ベッドに寝かされたまま、病室に戻ってきた。

「…琉汰」

俺は、千冬の手を握りしめた。

「千冬!」

「…琉汰の顔…見たい…」

千冬は、俺の手を離し俺の顔に手を伸ばしてきた。

「………」

俺は、おばちゃんと目が合った。

「…包帯…まだ取れないの?…」

「…あぁ…もう少しで取れるから…」

千冬は、眼で見えない代わりに手で、俺の顔を触った。

「あったかい…」

俺は、顔を触る千冬の手を握った。

「…千冬」

琉汰は、泣いていた。

私の手に、琉汰の涙が染み込んだ。



千冬が、目覚めてから3日が過ぎた。

「千冬!今日も天気いいぞ!」

俺は、病室の窓を少し開けて言った。

「そう…」

千冬の声には、元気がなかった。

「…千冬?どうした?どこか痛むか?」

俺は、ベッドに座った。
< 24 / 94 >

この作品をシェア

pagetop