二人で一人〜永遠に
琉汰は、私の問いかけに、返事がなかった。

【私の眼が…見えなくなった…】

「…琉汰…何か言ってよ…」

私は、琉汰の手を叩いた。

「…俺が…お前の眼となって……千冬を守っていく……あの日…何もなければ…俺達は…今頃…幸せに……暮らしてた……だから!…」

「やめて!!…」

私は、両手で顔を隠した。

「千冬…」

「…眼が見えない…私の眼が……」

俺は、震える千冬を抱きしめた。

「千冬!俺が居る!!お前には、俺が居る!ずっと…」

「離して!!」

私は、琉汰を突き放した。

「千冬…」

「!!」

千冬は、眼に巻かれた包帯を取り始めた。

「…信じないわ!今…この包帯を取れば……!」

千冬は、包帯を取った……眼を開き……公園から見える、ベイブリッジを見ているように見えた。

「…千冬?」

俺は、千冬の目の前で手を左右に振った。

「………」

千冬は、ゆっくりと瞬きをした。

「…嫌……嫌ぁぁぁぁぁ!!…何で…何で私の眼が!?……嫌よ!!…い…や…」

千冬は、目を擦りベンチから落ち、大粒の涙を流しながら錯乱した。

「千冬!!」

俺は、千冬を強く抱きしめた。

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