二人で一人〜永遠に
俺は、廊下で千冬の本心をすべて聞いた。
「………」
扉が静かに開き、病室から出てきた、兄貴と会った。
「…琉汰」
「…兄貴…」
俺は、兄貴と屋上に上がり温かいコーヒーを両手で包みベンチに座った。
「…琉汰、千冬の気持ちも分かってやれ…」
兄貴は、缶コーヒーを一口飲んでいった。
「……うん」
「…突然、見えていたものが見えなくなってしまったんだ…今は、千冬に何を言っても無理だと思う…」
「……あぁ」
「…時間が、琉汰と千冬を戻してくれる…それまでは、千冬を見守ってやるしかない…」
「………」
〔ポンッ…〕
兄貴は、優しく俺の背中を叩いた。
屋上の夜空に輝く星を、俺は眺め涙を流した。
【…俺は、千冬と別…れ……】
「…無理だ…」
俺は、頭を抱えた。
――【…これでいい…これで私も琉汰苦しまなくてすむ……琉汰……愛しているわ……琉汰が、幸せになる事を私は、心の底から願っているよ……心残りは……ない……】
――俺は、病室の扉の前でベッドで眠る、千冬を見つめていた。
【…千冬………俺が、千冬を…死ぬまで…支えていく……永遠に……】