二人で一人〜永遠に
『……ひどい…よ…』

私は、目に涙が浮かんできた。

『あっ!!』

突然、私の体が浮き後ろから抱き抱えられた。

『…心配した?』

琉汰は、いつものようにふざけながら言った。

『………』

『おい!泣くなよ!』

私は、琉汰の首に手を回し泣いてしまった。

『ごめん!悪かったよ!』

『…急に…不安になっちゃったじゃない!…』

『…ごめん…』

琉汰の落ち込んだ、顔を見たのは久しぶりだった。

なぜか私は、琉汰に勝った気がして嬉しくなった。




私は、眼を閉じたまま思い出し笑いをしてしまった。

「何?何が可笑しいの?」

お母さんは、私の近くで言った。

「ごめん、昔の事思い出しちゃって!」

「…そう」

〔コンコンッ!〕

病室の扉がノックされた。

「はい?」

「………」

【…琉…】

私は、急に心臓が激しく動き出した。

お母さんの足音が、止まり扉を開けた音を聞いた。



「…琉汰」

「…お母さん!入れないで!」

「…千冬」

「…千冬…最後のお願いに来たんだ…」

「最後って琉汰?!」

おばちゃんは、俺を見た。

「…最後に俺の願いを聞いてくれ」
< 34 / 94 >

この作品をシェア

pagetop