二人で一人〜永遠に
千冬は、自分の足元にポップコーンを落とした。

「こっちの方にも、投げな」

俺は、千冬の手を掴み言った。

「皆食べられてる?」

「あぁ…千冬は俺と違って平等だから」

「あっ!昔の事を言ってるのね?」

千冬は、クスッと笑った。


「…銀杏…」

「えっ?」

「銀杏は、今どんな感じになってるの?」

千冬は、見えていない眼で目の前の海を見て言った。

俺は、銀杏の樹を見た。

「…銀杏の樹は…黄色く色ずいて…葉っぱが道路にいっぱい落ちている…」

「………」

「…千冬?」

隣に座る千冬は、目を閉じていた。

「…想像してた…毎年見ていた黄色のジュウタン…」

「………」

千冬の言葉に俺は、言葉をうしなった。

「…ねっ!これからどこに行くの?」

千冬は、俺の気持ちを感じたのか、無理して笑顔を作り俺の足を叩き言った。

「どこか行きたい所は有るか?」

「…んー……全部!」

「えっ?!」

「この辺全部行きたい!ここは、琉汰と私の思い出がいっぱい詰まっているでしょう!…すべて琉汰と回りたい…思い出の場所を…」

【…見えなくても私には、頭に残っている記憶がある…】

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