二人で一人〜永遠に
「…わかった!全部行こう!」
俺は、千冬が望んだことを叶えてあげたかった。
俺と言う存在を、もう千冬の前では見せる事ができないから……。
マリンタワーから眺める……横浜港…ベイブリッジ…ランドマークタワー…赤レンガ…山手……俺は、千冬の後ろから千冬を包み込むように抱きしめながら、目の前の風景を伝えた。
私は、琉汰が教えてくれる風景を目を閉じながら思い出していた。
マリンタワーは、何度も来たことがある場所……去年の12月24日…私達は、マリンタワーに居た……。
『…琉汰』
『ん?』
『これからも、ずっと一緒に私と居てね…』
千冬は、横浜港を見つめ両手を俺の体に回した。
『…当たり前だろ!…千冬が嫌だ…もう俺に飽きたって言っても、俺は千冬を離さない!…俺達は、ずっと!ずっと!一緒だ!』
『うん!』
琉汰の言葉に、私は胸が痛く…苦しいくらいに琉汰を愛している自分が居た。
【…!?】
俺の手に、ポツン…と何かが落ち、俺は後ろから千冬の顔を覗いた。
【!!…千冬…】
千冬の、綺麗な眼からは涙が流れていた。
【…!…】
琉汰の指が私の涙を拭った。