二人で一人〜永遠に
『なに?』

千冬は、キョトンとしていた。

『もっといい店が在るから!そこに行こう!なっ!?』

『ここで充分よ!』

『充分って…』

俺の手から千冬は、手をすり抜け店に入っていった。


結局、俺は千冬が気に入った店で指輪を買うことにした……。

店を出る時に、小柄で可愛らしいお婆ちゃんが、店の奥から出てきて俺達を呼んだ。

『…これ、これを持っていきなさい!』

『えっ?』

俺と千冬は、目を合わせお婆ちゃんを見た。

『これをあなた達に差し上げるわ…』

お婆ちゃんは、にっこり微笑んで千冬の手に何かを握らせた。

千冬は、俺の顔を見て握っていた手を開いた。

『…あっ…』

〔シャリンッ…〕

『鈴…』

千冬の手のひらには、二つの鈴があった。

『この鈴を持っていなさい…この鈴は永遠の鈴なのよ』
お婆ちゃんは、にっこり笑っていった。

『永遠の鈴?…』

『そう…例え離れてしまっても、この鈴を持っていれば…鈴と鈴があなた達を引き寄せ…巡り逢える鈴なのよ』

俺は、心の中で【そんなもん在るわけ無い】と思っていた。

『…凄い…』

『えっ?!』

俺は、隣に居る千冬を見た。
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