二人で一人〜永遠に
「あらっ!お久しぶりね!」

「どうも…」

「こんにちは」

挨拶した千冬の目線は、おばさんが立って居る所とは別の場所を見ていた。

「あっ…」

おばさんは、口元に手を置き千冬の姿を見て眼が見えていないことに気づいた。

俺は、軽く頭を下げた。

「…あの、お婆ちゃん居ますか?」

千冬が口を開いた。

「…あっ、お婆ちゃん…お婆ちゃんは亡くなったのよ…」

「えっ!?」

千冬は、おばさんの声がする方に顔を向けた。

「…いつ…ですか…」

俺は、千冬の手を握り言った。

「…あなた達が、指輪を買いに来てくれたでしょう…その一週間後よ…」

「………」

千冬は、黙ったまま俺の手を強く握り返した。

「…俺達もう一度お婆ちゃんに会いたくなって…」

「そう、ありがとうね…お婆ちゃんきっと喜んでいるわ!…鈴を渡せる事が出来て良かったって言ってたから…」

おばさんは、目に涙を浮かべていた。

「…あの鈴…本当に僕達が頂いても良かったんですか?…」

「良いに決まってるじゃない!お婆ちゃんが、やっとあなた達を選んで鈴を渡せる事が出来たんだから!」

千冬は、ずっと黙ったままだった。
< 48 / 94 >

この作品をシェア

pagetop