二人で一人〜永遠に
俺は、千冬の答えを待った。
『…月!』
『月!?』
俺は、夜空を見上げ月を見た。
『綺麗でしょう!』
『バカ言うなよ!月なんか取ってこれるわけ無いだろ!』
『私が言ってるのは、海に浮かぶ月よ』
『えっ!?』
俺は意味が分からず考え込んだ。
『さっ!早く取って来てよ!海に浮かぶ月を!』
千冬は完全に無茶苦茶な事を言っていた。
『無理だ、取れるわけねぇーもん!』
『…あっそう!わかった!』
【あれ?いつもならもっと…】
千冬は、素直に俺の言葉を受け入れたのか…黙ったまま海に浮かぶ月を見ていた。
【…普通なら、もう少しわがままを言うはずなのに……】
黙ったままの千冬の隣に俺は黙ったまま座っていた。
長い沈黙……。
高速を走る車の音……。
風の音……。
小波の音……。
千冬の息遣いの音……。
俺の心臓の音……。
【…苦しい】
『…俺と口聞かない作戦か?』
『………』
『俺…沈黙苦手…知ってるよな?』
『………』
『…はぁーっ!』
たまにある千冬の意地悪はキツイ!!。
ただのバツゲームとは、全く違い!地獄のバツゲームだ!!。