二人で一人〜永遠に
俺は、しばらく海に浮かぶ月を見ていた。






〔バシャーンッ!!〕







『琉汰!!』




『パァーッ!!』

俺は、夜の海に飛び込み海から顔を出した。

『…琉汰!!早く上がって!ごめん!私が悪かった!馬鹿な意地悪してごめん!!だからお願い!早く上がって!!』

千冬は、心配そうに俺に向かって手を伸ばした。


『いい事を思い付いたんだ!!』


『えっ?』

『千冬に海に浮かぶ月をプレゼントする事はできないが…俺から千冬に海に浮かぶ月を千冬の眼に焼き付ける事ができるかもって!』


『そんなのもういいから!早く上がっ……』


『……千冬の月だ!眼に焼き付けてくれ!』


『…琉汰…』

千冬は、涙を流し大きく頷いた。

俺は、海に浮かぶ月を両手で輪のようにして囲み千冬に見せた。




「…琉汰、鈴持ってる?」

「あぁ…あの日、千冬を家の前まで送った時、鈴を俺に渡したよな」

『この鈴…2つ持っていて』

『何で?一つは千冬の物だ』

『結婚式の時に私に指輪と一緒に渡して』

『えっ?』

『永遠を誓う場所で…』

『…千冬』

『ねっ?』

『分かった』

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