二人で一人〜永遠に
「そのまま琉汰が、鈴を持ってていいから」
「…千冬」
「私には必要がなくなっちゃったから」
【………】
千冬は、笑っていった。
俺は千冬を抱きしめようと手を伸ばしたが…手を下ろした。
【………】
「…分かったよ!あの鈴は俺が貰っておく」
「…うん」
千冬の横顔が愛しかった……強がって言った千冬の言葉……。
「…琉汰、わがままを聞いてくれる?」
「千冬のわがままは聞きなれてるから…何でも言いな!」
千冬は、隣に居る俺に向かって手を少し伸ばした。
「…琉汰の顔を触ってもいいかな…」
【千冬…】
「…いいよ」
「ありがとう…」
千冬は、両手で俺の顔を包みこんだ。
「………」
細く長い綺麗な千冬の指が、俺の顔を滑らせていた。
【…覚えておくよ、琉汰の顔を…この指で…】
千冬の綺麗な眼から涙が、こぼれた。
俺は、指先を震わせながら千冬の涙を拭いた。
【…俺が…千冬を守るから…】
「……大きな瞳…スッと鼻筋が通った鼻…綺麗な唇…笑うと靨がでる頬……他にもいっぱいで言いきれないよ……琉汰…」
千冬の涙は、とまる事なく溢れていた。