二人で一人〜永遠に
「…元気でね…」
振り向いて千冬の顔を見ようとした俺の背中に向かって千冬は言った。
俺は、扉の手すりを強く握った。
「……あぁ、千冬も元気で…」
〔…パタンッ…〕
病室の扉が、静かに閉まった。
〔…コツッコツッ…コツッコツッ……〕
琉汰の足音が静まり返った病院の廊下に響きわたって病室まで琉汰の足音が耳にハッキリと聞こえていた。
「………琉……汰……行かないで…」
私は、声にならない声で言った。
〔…コツッ……〕
【…!?】
足音が止まった。
「…琉汰」
私は、手探りで扉に向かった。
〔…コツッコツッコツッ……〕
一度は、止まった足音が……琉汰の足音が再び聞こえだした。
「…琉汰…」
琉汰の足音は、どんどん小さくなって……消えた。
私の、真っ暗な暗闇しか見ない眼から涙が流れた。
「…独りぼっちになっちゃったよ……琉汰……」
俺は、千冬が居る病室から俺の名前を呼ぶ千冬の声が聞こえたように感じた……一度振り返り耳をすましたが千冬の声が聞こえたように感じたのは空耳だった……。
病院を出た俺は、千冬が居る病室を外から見つめた。