二人で一人〜永遠に

「…どこに行くの?」

「病院だ」

「病院?」

「あぁ、千冬のこれからの事を話したくてね、それに会って欲しい人がいるんだ」

「会って欲しい人?…誰?」

「着いてから話すよ」

そう言って浩介は、それ以上何も話さなかった。

車は、ゆっくり止まり浩介が窓を開けた。

【………】

暗闇の中で私は、潮の匂いを感じた。

「…今どこ?」

「山下の前だよ」

「そう…」

「どうした?」

「海の匂いがしたから…なんだか久しぶり海の匂い…」

私は、右を向き見えない海を見ていた。


【琉汰…】



病院に着くと浩介は、私をどこかの部屋に通した。

「ここで少し待っててくれ」

浩介は、私を椅子に座らせ部屋を出ていった。


浩介が出ていった部屋は、静まりかえっていた。

「………」

〔ガチャッ!〕

扉が開いたと同時に浩介の声が耳にはいった。

「お待たせ!」

「…うん」

浩介は私の横に座った。

「えぇーっと、まず…」

「ちょっと待って!ここは?…」

「会議室だよ、安心しろ」


浩介は、私の右肩に手をおいた。

「会議室…」

「あぁ…千冬?」

「何?…」

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