二人で一人〜永遠に
偽り
部屋を出ようとする私を浩介は引き止めた。
「やめて!!」
「千冬…」
私は、浩介の手をはらった。
【………】
「…ごめんなさい…私…私は、まだ家から出る気にはなれないの…だから貴方の手は借りることは無いから…ごめんなさい」
「千冬」
私は軽く頭を下げ、そのまま壁に手を添えてドアに向かった。
〔ガチャンッ!!〕
「あっ!!」
私は何かに、ぶつかり転んだ。
「千冬!!」
「平気!!触らないで!一人で立てるから…」
私は、浩介を拒否した……。
【…このくらい一人で…】
〔…ガタガタッ!!〕
真っ暗な闇の中で私は、立てなかった……。
〔シャリンッ…〕
【…!……鈴…】
私の直ぐ傍で、鈴の音が聞こえた……。
『そのまま琉汰が、鈴を持ってていいから』
『私には必要がなくなっちゃったから』
『…分かったよ!あの鈴は俺が貰っておく』
私は、思い出していた琉汰に渡した鈴を……。
【!?】
「あっ!…」
鈴の音が耳元で鳴ると同時に力強い手で私を軽く持ち上げた。
【……琉…汰……】
「千冬!大丈夫か?!」
「……うん…」