二人で一人〜永遠に
千冬の手は、スーッと伸び、手は俺の顔に……。


【………!!】

【……!…陵君…】

陵君は、私の手を握った。

俺は、千冬の手を握りながら、あの日の事を思い出した。

『…琉汰の顔を触ってもいいかな…』

『…いいよ』

『ありがとう』

『………』

『……大きな瞳…スッと鼻筋が通った鼻…綺麗な唇…笑うと靨がでる頬……他にもいっぱいで言いきれないよ……琉汰…』

【俺の顔を千冬が触れたら…千冬は、俺だと分かるか?もし分かったら…千冬、お前は…】

「…ごめんね…私…」

【!?…】

陵君が握る私の手に、何かが落ちた。

【…千冬…】

「…陵君?」

【あっ!…涙……泣いている…】

「…泣かないで…陵君…」


「…………」

私は、陵君の気持ちが、痛いほど感じた。

そして私も涙が流れた。


【…千冬…愛しい千冬…】


【…!…】

陵君は、私の涙を温かい指で触れた。





「千冬!迎えに来たわよ」


「今行く!」

お母さんの声で、陵君が来たのが分かった。

鞄を持って私は、部屋を出た。

「お待たせ」

「おはよう!千冬」

【!?】

「…浩介?…」

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