二人で一人〜永遠に
手術室前の廊下の椅子で、おばちゃんと俺は、無言のまま座っていた。

「…どうして…どうしてこんな事に?…」

俺は、頭を抱えながら、おばちゃんに問い掛けた。

「…こ…子供が飛び出してきて……避けようとして反対側の……車線に出た時……トラックと……ぶ……打つかって……ちょうど千冬が座ってた場所に……ガラスが散乱して……私が気付いた時……には…千冬の眼から……血が………」

おばちゃんは、ハンカチで口元を押さえながら、泣いていた。

「……眼……血……」

〔ガッタン!〕

手術室の扉が開いた中から兄貴が出てきた。

「兄貴!!千冬は!?」

「……」

兄貴は、俺から目をそらした後、暗い表情で俺を見た。

「琉汰、千冬の眼は…もう見えなくなるかもしれない…」

【!?】

「なっ…何言ってんだよ!?冗談はやめろよ!?……見えないって……何で…」

俺は、兄貴の肩に持たれ掛けた。

「琉汰!?大丈夫か!?」

「…そんな事……言うなよ…」

「……」

「兄貴!!頼む!!頼むよ治してやってくれ!!…俺の…俺の眼を!…」

「琉汰!!お前だって!分かってるだろ…生きてる人間からは…」


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