キケンな放課後
『昔々、真冬の頃1人の女王様がいました。
 それから間もなく、女の子が生まれました。
 女王様はその子を白雪姫と名付けました。』


最初はナレーターと女王様の場面

…あたしはもう少しで出番だ…


『しかし、女王様は
 死んでしまいました。』


…どんどん劇が進んでいく。


『鏡よ、鏡、
 この世で1番美しいのは誰か。』

『女王様、女王様が1番美しい。』



定番のこのシーン…


あ、いよいよあたしの場面だ…


あたしは、心臓の音を
おさえてステージに上がった。


この場面では
あたしのセリフはない。


お花畑を歩くだけだ。


『白雪姫は立派に育ち、
 すごく美しくなりました。』



…ナレーターの言葉に戸惑いながらも、
あたしは練習通りできた。




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