キケンな放課後
『小人たちは大変悲しみ、
 白雪姫をひつぎに入れて森に置きました。』



…いよいよ王子…

今野君の出番だ…


あたしは、ひつぎの中で目を閉じて、
ドキドキしていた。



『なんてきれいな姫なんだ…
 まるで眠っているようだ。』



…この後…

キスシーンだ…



あたしは緊張して、
ぎゅっと目を閉じた。





…あれ…?


今野君が合図をするはずなのに、
合図がないな…


今野君は、合図として
ひつぎを軽く叩くはずだ。


あたしは不安になって、
うっすら目を開けた。






「笹山、目つぶってて…」

「え…あ、うん…!」



あたしたちは、お客さんに
聞こえない小さな声で会話をした。



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