この空の下
「あの…野球部の
マネージャーさん
ですよね?」
「…そうですけど」
「あの!
私崎美さんのこと
すごく好きなんです!
サインもらってきて
くれませんか…?」
あたしはその子を
じっと見つめた。
雰囲気からして
まだ1年生。
おとなしそうで
一途な恋って言葉が
よく似合いそうな、
あたしとは
正反対な子。
「あなたがキャーキャー
うるさいだけの
ただのファンじゃない
ってことはわかるけど
そーゆうのって
直接頼むものじゃない?」
「あ…」
あたしの言葉に
その子は俯いてしまう。
「じゃ、あたしは
ベンチに戻らなきゃ
いけないから」
そう言い残して
廊下を歩き出すと
後ろから声が
とんできた。