腐れ縁なんてクソ食らえ!!
(自分がでかいからって調子に乗ってんじゃねぇぞ)


 腰を低くして構える俺に、そいつは余裕の顔で肩をすくめて見せた。


「おいおい。こんなとこで物騒なこと考えてんなよ。ほら、これでも食べて落ち着け」

 そう言って投げて寄越されたのはピンク色の物体だった。

 反射的に俺はその物体を受け取る。ムニュと柔らかいものが潰れる感覚がして慌てて手の力を緩め、なかにある物体を見た。


 真ッピンクというよりも、ちょうど今舞っている桜の花びらのような薄いピンク色をした丸い物体から餡このようなものが少し飛び出している。


「なんだ、これ」

「見て分かるだろ、桜餅さ。それとも君にはこれが柏餅にでも見えるのか?」

「んなこと一言も言ってねぇだろが。何でこんなもん持ってんだよ」

「何でって、花見といえば桜餅だろ。今朝のニュースで、今日は花見日和だって言ってたから持ってきたんだよ」

「はっ?」



(こいつ、何言ってやがんだ?

 今日が花見日和だからってわざわざ入学式の前に花見をやるバカがいるか?
 つか、まだ団子ならわかるけど何で桜餅なんだよ。花見といば桜餅なんて定義聞いたことねぇぞ)
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