腐れ縁なんてクソ食らえ!!
「まず、人が集まって花見をするってのがいけない。人は誰かがいると喋りたくなるものだからね。それじゃあ、花見をしている意味がない。主役はあくまで人ではなく桜なんだから」

「つか、てめぇは人の話を聞けよ」

「それに下から見たって、ピンクいのが集まってるようにしか見えないじゃないか。やっぱり花の中で見るのが一番だよ」

「無視か、おい」

「んでもって、桜に囲まれて桜餅を食べる。桜尽くしで気分もピンク色になること間違いなし!」

「てめぇは、頭のなかまでピンク色に染まってるだろ」

「ん?何か言った?名無しのごんべ君」

「誰がごんべだ!?」


 そいつが爽やな笑顔で言った途端、俺の耐えに耐えていた堪忍袋の緒が勢いよく千切れた。
 

 普通の奴ではまず見切れない速度で、拳をそいつの顔面に打ち込む。


 パンッといい音がして、俺は周りが注目するのも構わず舌打ちをした。

 そいつの顔をとらえたはずの拳は、後一歩というところでそいつの手のひらに邪魔をされてしまったのだ。
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