腐れ縁なんてクソ食らえ!!
 にかっとガキのように笑いながら相馬が片手を挙げる。こいつは背がさっきの奴並みとはいかないまでも、それなりにあるので俺は自然と相馬に見下ろされる。

 初めのころはそれもムカついてしょうがなかったが、今ではすっかり慣れてしまった。
 こいつも初対面にこてんぱんにしてやったせいか、それ以降は俺のことを見下すマネはしなかったので、何だかんだで一緒にいるようになっている。

 いくらなんでも無害の奴を背が高いというだけで殴ったりはしない。
 最も、こいつがふざけてきた時は拳固の一つでもお見舞いしているがな。

 閑話休題。

 相馬は反応しない俺を気にもせず、だらだらと俺に近づいてくる。それを何も言わず待っていると、俺は思わず眉を潜ませた。


(こいつ、また背が伸びたか?)

 相馬が隣に並んで疑念は確信に変わる。
 それはもしかしたら本人も気付かないほどの僅かなものだったが、それでもすくすくと育っていく奴に苛立ちが募る。

 昨今日本の欧米化は進み、日本人も背の高い奴が増えてきたというのに、なぜ俺は背が伸びないのだろう。やはり、遺伝子の問題か・・・・・


(何で俺、親父に似なかったんだろう・・・・・・)

 背の高い親父と俺よりも背の低いお袋を思い出して、俺は思わず溜め息をついた。

「んだよ。めでたい日だってのに、随分辛気くせぇなぁ」

「いや、親父に似てれば少しは違っただろうなって思ってさ」

「あ〜。お前、響香さんに生き写しだもんな。もしお前がカツラ被ったら、響香さんかお前かわかんねぇと思うぞ」
< 15 / 19 >

この作品をシェア

pagetop