彼方より蒼く 【BL】
期待と緊張に胸を膨らませて、初めて正門をくぐった日のことも。
校内陸上大会でクラスで団結したことも。
部活で初めてレギュラーになれた日のことも。
初めて一弥に会った日のことも。
思い出せば、全てが"卒業"という、今の自分の状況に繋がって、圭太の溢れる涙を止める術も理由も無かった。
圭太自身も涙を拭いながら、しゃくりあげている一弥の頭を優しく撫でる。
「別に、永遠の別れってわけじゃないんだし。
会いたけりゃ、会えるんだから・・・そんな、泣くなよ、な」
「・・・っ・・せんぱ・・・・」
「いつだって手が届く場所にいるだろ、俺は」
左手の指先で一弥の頬を伝う涙の筋を拭ってやると、一弥がちらりとこちらを見た。
涙を拭った手をそのまま頬に添えると、互いの顔が近づく。
一弥がぎゅっと目を閉じた後、圭太が目を閉じた。
あと1cmで唇が触れそうなところで、ドラマなんかのお約束のように圭太の携帯が鳴った。