彼方より蒼く 【BL】
「何度来ても思いますけど・・・先輩ん家、本当広いですよね」
「そうかな・・・、慣れればこれが普通なんだけど。」
「ここでお姉さんと二人だけで生活してるんですよね・・・」
寂しすぎる空間だ。
一弥は率直にそう思った。
前にこの圭太の家にお邪魔したときは、
圭太の父はいなかったけれど、母と姉と圭太がいて、"家族"はちゃんとそこにあった。
けれど今はこのだだっ広い部屋に自分と圭太だけがいる、
もしここに自分がいなければ圭太だけがいる空間―
一弥は一人っ子だが、それ故に両親にはものすごく大切にされたし、
現在一緒に暮らしている祖父母にもかなり甘やかされて育った。
いつもそばに"人の温もり"があった一弥は、少しカルチャーショックのようなものを感じた。