彼方より蒼く 【BL】
手にとるように
――くすぐったい。
頬に感じたむず痒さに、一弥は目を覚ました。
薄く目を開けると、そこにあったのは寝息をたてている圭太の裸体と体温で、
くすぐったいと感じたのは、大学生になってから少し伸びた、圭太の髪の毛だった。
言うまでもなく一弥自身も裸なのだが、
軽めの掛け布団がかけられていて、そのうえ圭太に抱きしめられているかたちで寝ていたので寒さは感じなかった。
頬にあった不快感を取り除き、このまま恋人の腕のなかでもう一眠りしようとしたとき、
ひどく喉が渇いていることに気付いた。
そういえば昼に買ったグレープティーが残っているはずだ。
思い出して、一弥は台所へ向かおうと、
圭太を起こさぬようにゆっくりとベッドを抜け出た。