彼方より蒼く 【BL】
部屋の電気は全て消えているものの、勝手知ったる人の家、何度もここに泊まったことのある一弥は、
少し手探りながらもすんなりと台所にある冷蔵庫に辿りつけた。
冷蔵庫からグレープティー、棚からコップを取り出して、
来たときと同じくつまづかないように部屋へと戻った。
「―――・・・一弥・・・?」
部屋に戻ると、暗がりから声がした。
「すいません先輩、起こしました・・・?」
「いや・・・目が覚めたらお前がいなかったから・・・驚いただけ。
喉、渇いたのか?」
「はい・・・グレープティーですけど、先輩も飲みますか?」
「うん、少し・・・くれ」
暗闇に目が慣れてきて、お互いに表情も把握できる。
一弥はベッドサイドに腰掛けて、ゆっくりとコップにグレープティーを注いだ。
そして、それをゆっくりと口に流しこむ。