彼方より蒼く 【BL】
「申し訳ありませんっ!!!」
病院のエレベーターが開いた瞬間に慎二の目に飛び込んできたのは、一弥の両親に土下座する圭太の姿だった。
「圭太くん、頭を上げて」
「そうよ、あなたのせいじゃないんだから・・・」
一弥の両親は涙声で、しかし優しく圭太に声をかける。
慎二はエレベーターから一歩出て、そこに立ち尽くすことしかできなかった。
「申し訳ありませんっ、申し訳ありません・・・」
圭太は何度も頭を下げる。
すぐ近くの治療室の扉が開き、少し年のいった医師が出てきて、一弥の両親に静かに何かを伝えた。
圭太と慎二には、それが何かは聞こえなかったけれど。