究極のメソード
喫煙室を後にした渡辺は
Kの病室へと向かった。


ドアをノックして
渡辺は病室へ入る。


するとそこに
静かに小説を読みふける


Kの姿があった。


しばらくその様子を
無言で眺める渡辺。


「おれが小説を読むのが珍しいのか?」
不機嫌そうに言うK。


その言葉に渡辺は笑って首を振る。


「いや、体も治って心も落ち着いた様子だし
本当によかったと思ってね」


「いや、心は落ち着いていない」


間髪いれず言葉を返すK。
< 289 / 383 >

この作品をシェア

pagetop