究極のメソード
「あの患者さんはとにかく自傷行為がひどくてね」


Kが訪ねて行くとその当時の担当医師が
快く応じてくれた。


病院の待合室に座り
2人は話し出す。


他に患者の影もない。
病院には閑古鳥が鳴いているようだった。


「うちとしても仕方がなく隔離して
拘束着を着せたんだ。


ひどいトラウマに悩まされ
自分には全く価値がないと

思い込んでいた。


たぶんよほどの挫折と苦悩を
味わったんだろう」


遠い目をして医師はつぶやく。



「かわいそうな人だよ」
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