Kinmokusei~ ありがとう ~

先生のあの目が
忘れられなかった。

寂しいあの目を
見たくなかった。

遅れていつもと同じ時間に行くと
すでに何人かのクラスメートと担任が
校門の前で
正門アーチを建てている。

私はそれを無視して校門を自転車で通過した。

クラスメートの一人が私に気付き

「遅いよ」

と言うと先生もこちらを見た。

その目は
安心した目だった。

昨日みたいに
寂しい目ではなく
安心した目をしていた。

私はそれを無視してクラスメートに謝りながら
教室に持って行く物を持って
校内に入って
自分の教室に向かった。

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