Dream Book

優しさの反対に


私はご飯を食べているとき、たまに夢について話すようになった。

「ねぇお母さん、静岡から東京までってお金いくらかかる?」
「往復一万くらいでしょ」
一万という金額は私にとってものすごい大金で、
働いていない私は親からのおこずかいで貯めるしかなかった。
けど櫻井家は元々おこずかい制ではなく欲しい時に貰っているため、そう上手くいくことはなかった。

「一万ちょうだい~」
冗談混じりに本気で聞いてみた。
お母さんから返ってきた返事は、
「馬鹿じゃないの?」

この時点で私は東京に行くことが出来ない…
そう思っていた。
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