あなたが私にできる事
彼のことは好きだった。
もちろんそれは私なりに。
だけどあの言葉は
「神崎さん?」
はっと気づくと山口くんが心配そうに私を見ていた。
「あっ…、ごめん。」
「大丈夫?」
「うん。ちょっと自分の世界入ってた。」
休日のファミレスは親子連れでいっぱいだ。
みんな楽しそうに笑いながら食事をしている。
楽しそうに…。
笑いながら…。
「神崎さんって彼氏いたんだ。」
「うん。だけどうちの高校じゃないから。知ってる人なんていないんじゃないかな?私も誰にも言ってないし。」
「誰にも?みっきーにも?」
みっきーは私の唯一の友達だ。
女の子が苦手な私は美紀以外の人と仲良くなることができなかった。
「うん。言ってない。恋バナ苦手なんだよね。」
「さすが孤高の一匹狼。」
「何ソレ?」
「神崎さんの陰のあだ名。誰ともつるもうとしないから。だって同じクラスになって1年経とうとしてるのにまともに話したことないだろ?俺たち。」
よく考えてみたらそうだった。
話しかけられない限り私は人と関わらない。
クラス内にも未だに顔も名前もわからない人が数人いる。