あなたが私にできる事
「俺やっぱりチーズ入ったハンバーグにするかな~。神崎さんはどうする?」
山口くんが目の前でメニューを開いて見せてくる。
「何?夜ごはん食べてくの?」
「うん。腹減ったから。神崎さんはいらない?」
屈託のない笑顔で言われてしまうと断れない。
「じゃあ…、イチゴパフェ。」
「それデザートじゃん!!」
「いいの。食欲ないし。甘いもの食べたいんだもん。苺ならビタミンだって取れるもん。」
これ以上何か言われる前に呼び出しボタンを押した。
ピンポーンという軽い音が店内に響く。
来るのは早いがやる気のなさそうなしゃべり方をする店員に注文をした。
「神崎さんって子供っぽいところあるんだね。」
山口くんが笑いながら言う。
「まだ子供じゃん。学生だし。」
「そうなんだけど。落ち着いてるイメージあるから。甘いものとか嫌いそう。」
それは周りが勝手につけたイメージだ。
大人っぽい。
落ち着いている。
一人でも平気。
人が評価する私は感情のないつまらない人間なのだ。