あなたが私にできる事



次の日は朝からずっと雨が降っていた。



昼休みになってから美紀が休みだということに気づく。




そして恭ちゃんのクラスに行くはずの山口くんが教室にいた。
いつもはお弁当を食べ終わると外に遊びに行くがこの天気ではそうもいかない。



私は彼を見ないように窓の外に目をやった。



ザーザーと降り続く雨。
真っ黒な空。
教室を照らす蛍光灯が眩しく感じる。



いつのまにか窓ガラスに映る山口くんを目で追っていた。





仕方なく読みかけの本を開いた。


ページをめくっても内容は頭の中に入ってこない。
しばらくただ文字を眺めていた。



突然聞こえてきた甲高い笑い声。




「あはははっ!!もぉ~、ヤマおもしろい~!!」





そこには山口くんの腕を叩きながら笑う市川みゆきの姿があった。




本を持つ手に力が入る。








そこは私の居場所なのに。






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