あなたが私にできる事
「「あ…。」」
ドアを開けた人物と私の声が重なった。
そこには山口くんが立っていた。
「横山が…、神崎さんが具合…悪くて保健室行ったって言う…から…。えっと…。大丈…夫?」
彼にしては珍しく歯切れが悪い。
だけど挨拶以外の彼の言葉を聞くのは何週間振りだろう。
たったそれだけのことに泣きそうになる。
ふと我にかえり、私は慌てて立ち上がった。
そのまま山口くんの前に行くと勢いよく頭を下げる。
「ごめんなさい!!」
彼の足を見つめた。
きっと今が元に戻るチャンスなんだ。
「関わらないでとか面倒くさいとか、ひどいこと言ってごめんなさい!!あんな事、もう思ってないから。私…、また美紀と恭ちゃんと4人でいたい。だから…。えっと…。約束する!もうひどいこと言わない!だから…、また友達に戻ろ…?」
自分でも何を言っているのか、何が言いたいのかわからなくなっていた。
だけど今の自分の思いを精一杯伝えたかった。
頭を下げたまま山口くんに向かって小指を出す。
阿部さんが私にそうしてくれたように…。