あなたが私にできる事



山口くんがどんな表情をしているのか気になる。



再び泣きそうになった。



恐る恐る顔を上げようとした時、温かいものを小指に感じた。



目線を上げると私の小指に絡まる彼の小指が見えた。


下げていた頭をようやく上げる。




そこには優しく微笑み、私を見ている山口くんがいた。



安心して私の頬が緩む。



その瞬間、彼の小指に力が入る。



気づいた時には私は彼の腕に包まれていた。





背中に感じる山口くんの左手。



後頭部に感じる山口くんの右手。



彼の胸から聞こえるその鼓動に耳をすませた。





このまま両腕を背中にまわしたい衝動に駆られる。



が、力を込めてそれを我慢した。




友達のままでいると決めたのは自分だ。





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