あなたが私にできる事
安心したいのは私の方だ。
山口くんが阿部さんと…、他の女の子と話をすることに耐えられない。
考えただけでも嫉妬という汚い感情が湧き上がる。
まさか自分がこんなにも独占欲の強い人間だったなんて。
何かに執着するなんて初めてだ。
「ところで具合大丈夫なの?」
彼が心配そうに私の顔を覗きこむ。
「うん。仮病。山口くんこそ授業は?」
5時間目を知らせるチャイムはとっくに鳴っていた。
「いい。さぼる。」
二人で笑い合ってソファに座った。
窓の外では蝉がうるさいくらいにわめいている。
エアコンが効いていて心地いい保健室。
数週間振りの山口くんとの会話。
来週からは夏休みが始まる。