あなたが私にできる事
「はい。」
美紀が満面の笑みで私の前に立つ。
その手には黒地の浴衣。
「何コレ?」
「恵梨香の浴衣。って言ってもお母さんのだけど。可愛いでしょ!?」
そんな話聞いてない。
「私着ないよ。浴衣なんて恥ずかしい。」
「だめだよ。その為にわざわざ早めに呼び出したんだから。」
「美紀が相談があるって言うから…!」
彼女はそのまま部屋を出て行った。
しばらくしてから両手に何かを抱えて戻ってくる。
おもむろに私の前に並べられた物は、ピンクと黄色の2種類の浴衣だった。
「相談!どっちの浴衣がいいと思う?」
いたずらっ子の様に笑う彼女を前にして、私はため息しか出なかった。