あなたが私にできる事
会場はたくさんの人で溢れていた。
なんとか4人で花火を見れるスペースを確保する。
「なんかノドかわいちゃった。私飲み物買ってくるね。
美紀も何かいる?」
声をかけたが山口くんたちと話をするのに夢中になって聞こえていないようだ。
仕方なく一人で出店のある通りに向かう。
「待って。一緒に行く。」
そう言って後ろから追いかけて来てくれたのは、
山口くんだった。
「俺、かき氷食べたいな~。」
彼は自販機で飲み物を買っていた私の様子を窺うように聞く。
その言い方を不思議に思ってかき氷の屋台をみると長蛇の列ができていた。
「いいよ。並ぼう。」
「よかったー。ありがとな。」
かき氷の為にあんなに並ぶ人の気が知れない。
だけど私にとって彼の笑顔にはそれだけの価値があった。
この笑顔が見れるのなら私はこの行列も苦にならない。