あなたが私にできる事
なんとかかき氷を買い美紀たちの元に戻ろうとした。
「うわ〜。すっごい人だな。」
山口くんが顔をしかめるのも頷ける。
さらに人が増えていて思うように前に進めなかった。
「どうしようか。」
困っているうちに花火が上がり始めてしまう。
みんな夜空に夢中になってしまい人の流れが完全に止まった。
終わるまでこの状態か…、と諦めようとした時だ。
「神崎さん!こっち!!」
山口くんが私の手を引っ張った。
彼は私の手を掴んだまま真っ暗な脇道を走り出す。
「ちょっと…。山口くん!?」
彼は走りながら振り返った。
「こっちに花火の見れる穴場スポットがあるんだ!」
山口くんは子供の様にはしゃいだ笑顔を見せる。
人気のない夜道に下駄の音が響いていた。