あなたが私にできる事
「あそこの公園!」
山口くんの指さす先には鉄棒と砂場だけしかない小さな公園があった。
そこには誰もいなくて花火の上がる音がやけに大きく聞こえる。
「「あっ…。」」
公園に着いた私たちは呆然と立ち尽くした。
「マジかよ…。」
花火の見えるはずのところには高層マンションが建っていた。
きっとマンションの住人にはキレイに花火が見えていることだろう。
「ごめん。神崎さん…。」
謝る山口くんの顔があまりにも情けなくて笑いがこみ上げてくる。
「笑うなよ。昔はすっげーキレイに見えてたんだ!」
「あはははっ。いいよ。そんなにムキにならなくても。」
笑い過ぎて目尻に涙が浮かぶ。
それを拭おうとした時、私たちが手を繋いだままだということに気がついた。
急に恥ずかしくなる。
「あっ。ごめんね…っつ!!」
慌てて手を離して彼から離れようとしたら足に痛みが走った。