あなたが私にできる事
「大丈夫?」
山口くんが私を支えてベンチに座らせてくれる。
「なんか足痛くて…。」
足の甲を見たら鼻緒が擦れて皮がめくれていた。
「うわっ。なんかすげー痛そうなことになってるよ。ごめん。俺、無理矢理走らせたもんな。」
彼はしゃがんで私の足を見る。
「大丈夫。絆創膏あるし。」
山口くんの心配掛けるのが嫌だった。
慌ててお財布の中から絆創膏を取り出す。
自分で貼ろうとしたが帯のせいでうまく体を屈めることができない。
「貸して。俺がやる。」
山口くんが私から絆創膏を奪う。
彼の手が足に触れた。
ずっと聞こえている花火の音が自分の鼓動に掻き消される。
「はい。できた。これで大丈夫!」
山口くんが自慢げに顔を上げて私を見た。
ここが街灯の少ない所でよかった。
おかげで自分でもわかるくらい熱くなっている頬を見られずに済んだ。