あなたが私にできる事



絆創膏が剥がれないようにそっと下駄を履いた。



「うん。痛くない。ありがとう。」



山口くんは嬉しそうに笑うと私の隣に腰掛ける。



「あ~あ。花火見たかったよな。中学の頃はすっげーキレイに見えててさ。俺らの秘密の場所だったんだ。」



「俺ら?」



「ん?あぁ…。小学校の時からの友達。」



彼はその頃を思い出すかのようにマンションを見上げた。



私の知らない小学生の山口くん。中学生の山口くん。



どんな子供だったんだろう。



その友達に会って聞いてみたかった。


むしろその友達になって一緒に過ごしてみたい。






「最後みたいだな。」



最後の連続の打ち上げ花火の音がが心臓を揺さぶる。




「恭一たち探しに行こうか?」



山口くんが歩き出す。




「神崎さん?」



< 130 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop