あなたが私にできる事
絆創膏が剥がれないようにそっと下駄を履いた。
「うん。痛くない。ありがとう。」
山口くんは嬉しそうに笑うと私の隣に腰掛ける。
「あ~あ。花火見たかったよな。中学の頃はすっげーキレイに見えててさ。俺らの秘密の場所だったんだ。」
「俺ら?」
「ん?あぁ…。小学校の時からの友達。」
彼はその頃を思い出すかのようにマンションを見上げた。
私の知らない小学生の山口くん。中学生の山口くん。
どんな子供だったんだろう。
その友達に会って聞いてみたかった。
むしろその友達になって一緒に過ごしてみたい。
「最後みたいだな。」
最後の連続の打ち上げ花火の音がが心臓を揺さぶる。
「恭一たち探しに行こうか?」
山口くんが歩き出す。
「神崎さん?」