あなたが私にできる事
山口くんは私の足を気づかってかゆっくりとしたペースで歩く。
静かな住宅街に私たちの話し声と下駄の音が響いた。
山口くんの家に着くと彼は私を母屋の縁側に座らせる。
「ここで待ってて。ちょっと買い物してくる。」
「え?」
戸惑う私を残して彼は行ってしまった。
家の中には人の気配は感じられない。
電気もついていなくて真っ暗だ。
「誰もいないのかな…。」
池を照らす灯籠の明かりがやけに眩しい。
バックの中で携帯のバイブ音がした。
「もしもし?」
『エリザベス?あのさ、みっきーが帰るって言うから俺も帰ることにするよ。』
「そっか。わかった。山口くんに伝えとくね。」
「何を?」
「びっ!!…くりさせないでよ。」
いつのまにか真横に山口くんがいた。