あなたが私にできる事
煙にむせながら次々に花火をつけていく。
二人で両手に何本もの花火を持ってはお互いに向かって振り回す。
楽しそうな山口くんを見ているのが嬉しくて目一杯はしゃいだ。
池の水面に映る花火の影がすごくキレイだった。
あっという間にバケツの中は花火の燃えかすで一杯になった。
「やっぱりシメはこれだよね?」
山口くんがとっておいた線香花火に火をつける。
風から花火を守り、先にできる玉を落とさないようにしている姿は真剣そのものだった。
「もっとこの火花のかわいさを楽しんだらいいのに…。」
「しっ!落ちちゃう。」
小さな声で私を咎める。
しゃべったからって玉が落ちるわけない。
だけどそこに意識を集中させている山口くんはさっきから私がずっと見つめていることには気づいていないようだった。
時折吹く風に揺れる髪。
柔らかそうなその髪に触れてみたい。
「あ~ぁ。落ちちゃった。」