あなたが私にできる事
少し大袈裟な落胆の声を上げる。
「よし!次は3本まとめてやってやる!!」
山口くんはほとんど一人で線香花火を楽しんでしまった。
「ラストは競争しようよ!」
2本だけ残った線香花火を二人で分ける。
「負けたら新学期にジュース1本!よーい、スタート!!」
同時に火をつけた。
パチパチと跳ねる火花に気をつけながら左手をかざす。
少しは風の影響がなくなるだろう。
「その浴衣みっきーのだったんだね。」
「何?しゃべらせて落とす作戦?」
私は花火から目を離さずに答えた。
「違うよ。ただ…、すごく似合ってる。
かわいいなぁと思って。」
「え?」
思わず顔を上げたら山口くんと目が合った。
彼は自分の花火など少しも見ていない。
「あっ…。」
私の線香花火の玉が地面に落下した。