あなたが私にできる事


少し大袈裟な落胆の声を上げる。


「よし!次は3本まとめてやってやる!!」



山口くんはほとんど一人で線香花火を楽しんでしまった。


「ラストは競争しようよ!」


2本だけ残った線香花火を二人で分ける。


「負けたら新学期にジュース1本!よーい、スタート!!」



同時に火をつけた。


パチパチと跳ねる火花に気をつけながら左手をかざす。

少しは風の影響がなくなるだろう。



「その浴衣みっきーのだったんだね。」



「何?しゃべらせて落とす作戦?」



私は花火から目を離さずに答えた。



「違うよ。ただ…、すごく似合ってる。


かわいいなぁと思って。」




「え?」



思わず顔を上げたら山口くんと目が合った。


彼は自分の花火など少しも見ていない。



「あっ…。」



私の線香花火の玉が地面に落下した。











< 136 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop